裏声で歌へ・・丸谷才一
丸谷さんと言へば僕が大学生時代に傾倒していた作家。もうかぶれまくつていましたねえ。
自分の日記はもちろん授業のノートもすべて正仮名遣ひで書いてましたよ。
なにがきつかけで、丸谷さんを読み始めたのかおぼえていませんが、ほんとうに衝撃的でした。
たぶん、裏声で歌へ君が代 が最初に読んだ本でせう。
笹まくら、年の残り、たつた一人の反乱、横しぐれとつづく長編小説はなんども読み返しました。
ジョイスの翻訳は氏の業績の柱のひとつでせうが、こればかりはたいくつでお付き合ひできなかつた。(翻訳小説は苦手なんです)
一番好きだつたのは、軽妙で品のよい随筆。食通知つたかぶり、は当代一のグルメエッセイでせう。
批評家としては文章読本。これを読んで僕はショックを受けましたね。もう目からうろこがボロボロ落ちましたよ。
すでに88歳。まだまだお元気で執筆していただきたいものです。